昨日は、安藤忠雄の設計した非日常の空間で午後のひとときをゆっくり過ごしたいと思い県立美術館に足を向けた。特に興味のある展覧会が開催されていたわけではない。行ってみると“アーリュ・ブリュット・解剖と変容”と言うテーマの催しがあり、アーリュ・ブリュットに関する予備知識のない私は、解剖学に関わる過去の解剖図とか昔の医療器具が展示されていると思ってチケットを買い求めた。
ところが、この展覧会は…何と言うか、私の芸術に対する概念に衝撃を与えるものだった。チェコ出身のルボシュー・プルニーとアンナ・ゼーマンコヴァの二人の作品は、普通?ではない。彼らは明らかに精神に障害を持っていると思われる。彼らの作品をじっと見ていると私自身に落ち着きが無くなり、不快感が芽生えてくる。こんな感覚は初めてだ。私のなかの芸術の範疇をここまで広げて良いものかどうか、いまだに悩むところだ。
展示会場を出ても、胸のあたりに残る不安感を引きずり…、非日常の空間を後にした。
帰って、アーリュ・ブリュットの意味を調べてみた。
フランス人画家・ジャン・デュビュッフェがつくったフランス語「アーリュ・ブリュット(ArtBrut“なま、き”の芸術)」のことを英語でアウトサイダー・アートと言う。特に 芸術の伝統的な訓練を受けておらず、名声を目指すでもなく、既成の芸術の流派や傾向・モードに一切とらわれることなく自然に表現した作品のことをいう。アウトサイダー・アートを作る芸術家をアウトサイダーアーティストという。
皆さんの町にこの展覧会が巡回してきたら、私が得た感覚を理解できるかどうか、足を運んでみてほしい。
来月は、金沢の美術館を訪ねてみる予定だ。展示会を見るのではない。美術館を見に行くのだ。
昨日の体験もあるし、しばらく、展示品はどうでもよい。 |