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SOLILOQUY

ひとりごと

 
March 05, 2012 12:43:41

老齢

カテゴリー: 日記
昨日は、35年来の知り合いのフレンチシェフが、今の場所で店をはじめて5周年記念の宴があり参加した。
シェフは今年確か66才になると思う。40才になった時、すでにオーナーシェフであった彼は、体力のある今を逃したらチャレンジできなくなると言い払って、日本の店を他人に任せ渡仏し、フランスでフランス人にフランス料理を食べさせるためにパリ郊外で約10年間オーベルジュを営んだ。今でこそ海外に料理修行に行く日本人は珍しくない時代だが、修行ではなく実践営業に行ったのだから凄いと思う。逆に考えれば、フランス人が日本にやってきて寿司屋をはじめたとイメージしたらその事の重さがお分かりだろう。

震災の影響もあり日本の店を先に閉め、時代の流れでフランスの店を閉め、しばらく関西の自宅内でレストラン営業をしていたがそれも止め、老舗旅館の社長から日本海の近くの山村でオーベルジュを任され数年間山のなかで過ごしたが、5年前に今の場所に移って再び自分の店を始めた。
ポールボキューズ全盛の時代のシェフだけあり、料理スタイルはクラシックなフレンチだが基本は確かで、いまだにグルメなファンも多い。

小さな彼の店の一室に10人ほどの顧客が集まった。私が時間通りに行くと、すでに他の客は席についており、その年齢の高さに驚いた。私はそのなかではまだ若輩で、70才を越えた顔見知りどうしの顧客が談笑していた。医師、大学教授、行政関係者、カルチャースクール主宰者、第一線を退いた人もいるが社会的地位のある人達が集っていた。自宅での晩餐風に一本にテーブルはつながれ、全員が一つの話題に興じることができるセッティングになっていた。

私は、他人とのコミュニケーションはうまいほうではないが、このテーブルセッティングでは会話に混ざらないわけにはいかない。適当に意表をつく話題を提供しながら、料理を楽しんだ。

次から次とこれでもかと言う力の入った料理が登場した。食材だけ言うと、ホタルイカ、猛者エビ、ウサギ、フォアグラ、リドヴォ―、ヒラメ、タイ、牡蠣、カニ、スペイ産野菜…ああっ、まだあったけど多すぎて思い出せない。
そしてメインディッシュは、スペイン産仔豚のまるままロースト…乳だけで育った豚の丸焼きである。シェフがスペインで食べた感激料理の再現である。豚の姿焼きは中国料理や沖縄料理では知っているが、ミルクだけで育った豚だから、豚らしくない食感だった。ミルキーな味だった。美味いのだが、どちらかと言うと珍しい…という感想が先に立つ。

これが、最終調理前の写真だ。気にしない方は大きくしてご覧ください。

老人たちの宴は、華やかなうちに幕を閉じた。料理も凄いが老人パワーを思い知った宴であった。

でも、もっと若い客にも来てもらわないとなー…と余計な心配をしながら、帰路についた。