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SOLILOQUY

ひとりごと

 
March 27, 2012 11:14:24

建築

カテゴリー: 日記
50代半ばでこの世を去った知人の建築家のことを思い出した。出会ったのが28年前、亡くなってからもう10年ほど経過しただろうか…。彼が30才代の半ばの時のある建築の実施設計の際に話をする機会があった。当時彼は建築誌“新建築”に載るレベルの現場をいくつか掛け持ちし、寝る間をおしんで体を酷使して設計に打ち込んだものだから、ある時彼の尿に血が混ざったことがあった。彼はその時私に薄笑いを浮かべて、こう言った。
“この年齢で、おしっこに血が混ざるような仕事ができて幸せですわ…。”

壮絶な設計馬鹿の言葉が今でも耳に残る。

彼は、すい臓癌でこの世を去ったが、若い時からの無理がたたったに違いない。

彼が死んでも、彼が手がけた建物は、彼の生きた証として残っている。その意味を知って、彼はどんな時でも精一杯設計に向かったことに違いない。

私は、今まで生きてきて、彼ほど真摯に人生に向き合ったことは一度もないかも知れない。
いつの間にか、私は彼が死んだ年齢を越えてしまった。
今からでも遅くないかな…。
彼の半分くらい頑張ってみようかしら…。