ギター教室に言っていつものようにレッスンそっちのけで先生と話をしていたら、次の生徒がやってきて、なにも習わなかったけれど満足したし…いいや、と思って“帰ります。”と、言ったら…、先生がそのままでは悪いと思ったのか、“最初の一音だけ弾いて帰って…。”と、おっしゃった。一瞬冗談かと思ったら、最近習った曲の出だし部分を弾かされ、続いてその曲の第一音だけ弾くように指示され、言われるままに弾いてみると…“その最初の一音で聴く人は、演奏家の力量、感受性を予測する。”と話された。 その話は、私の心をしっかり捉えた。初めて会う人の第一印象が大切だとは分かっていたけれど、演奏にはもっと聴く人とのファーストコンタクトが重要かも知れない。演奏する人の最初の一音で聴く人は演奏家の技術だけでなく、どんな演奏になるのか、音を大切にする人か、どんな感性の持ち主かをも見抜いてしまうことだろう。 年をとって経験を重ねた私は、優秀な演奏家が舞台に上がる瞬間の所作をみて、演奏のはじまる前に、期待できる演奏になるかどうかだいたいのところ予測しているかもしれない。ましてや最初の一音はと言うと期待のピークと言えるかも…。 これから、私はもっと第一音を大切に弾こうと思う。その姿勢が演奏のすべての音を大切のすることにつながっていくのだろう。 いつか、私の第一音が聴く人に演奏を期待させるような、真心のこもった音が出せるようになりたいと思った。 ただし、今のところは、第一音で大したことない…って見透かされるだろうな…。 ほとんど練習しなかったけれど、先生の一言が、私にとって素晴らしいレッスンになった。 私の演奏は、これから少しだけだが確実にレベルが上がると思う。 |