昨日の強風吹き荒れるさなか、私は前々日の29日から市立博物館で始まったばかりの“マウリッツハイス美術館展”に足を向けた。駅から歩いて10分ほどの近距離だが、傘をさせる状態ではなく、友人と二人で駅からタクシーに乗りこんだ。
車を下りて博物館までの数メートル歩く間に体が飛ばされそうな強風である。
昔は石造りの銀行として使用されていた重厚な建物のなかに入ると屋外とは正反対の緊張感のある静けさがあった。
そもそも今人気画家フェルメールの“真珠の首飾りの少女(青いターバンの少女)”がポスターになっている展覧会の2日目で祭日だから、天気が良ければ長蛇の列が予想されるのだが、さすがに多くのフェルメールファンは嵐で外出を控えたのだろう…チケット売場に列はなかった。それどころか“青いターバンの少女”のために充てられた大きな一部屋にも、ほとんど人がおらず、好きなだけ立ち止まって鑑賞できたのだ。
オランダのマウリッツハイス美術館に行ったことのある人といっしょに行動していたが、彼女の話ではオランダでもこんなにゆったり観ることができなかったそうだ。
まさに嵐が運んだ奇跡である。
しかし、並ばずに済んだことで有難さが半減したような気もするが…。
私は、レンブラントが大好きである。展覧会にはレンブラントの自画像他数点が展示されていた。若い頃にレンブラントの絵を訪ねて欧米の美術館を巡った日々を思い出した。あの当時に感じた心の高揚はもうないけれど、筆のタッチを思い切り堪能できた。
博物館を出て、すぐ前にある居留地時代に作られ建物のなかのカフェでお茶して外に出た時には、すっかり嵐はおさまっていた。
私に素敵な時間をくれた嵐に感謝するととともに、嵐で被害に合われた方々にお見舞い申し上げたい。
この日、嵐は思いもよらぬ様々な影響をまき散らして通り過ぎたに違いない。
私も生きていることで、周囲の人に良い影響を与えられたらいいのだが…。そうはいかん時もあるんだろうなーっ。 |