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SOLILOQUY

ひとりごと

 
October 24, 2012 15:08:36

狐顔

カテゴリー: 日記
私が現役で事業をしている時に、短期間だが、ブライダル事業で関わったフレンチのシェフが、4年ほど前に丹波の山奥でフランス料理の店をオープンした。今でも彼は私の職場の近くにフレンチレストランとガレットの店の2店のオーナーでもあるが、そちらは人に任せ、自分で育てた野菜を盛り付ける…憧れの田舎生活をしながら、取れたて有機野菜のレストランを始めたわけだ。

一度は食べに行きたいと思いつつ、時間が経過してしまったが、このたびマダムと薔薇のおじさんと友人の歯医者さんを誘って、昨日雨の煙る高速道路を乗り継いで訪ねることになった。
高速道路を下りて電話番号を登録したカーナビの案内を頼りに走っていると、私の予想していた方角と違ったところに誘導されて行った…不安になりながらも、指示通りに運転していたら、目的地に近づいたところで右折の指示が出たので舗装路を折れて地道に入った。しばらくすると…また右折の指示が出る。そしてまた右折の指示が出て…結局同じところをグルグルまわり始めた。

車を路肩に止めて、カーナビの情報を店名で入れ直すと、今度はそこから8kmほど離れたところに目的地が認識され、結局私が予想した方角に戻ることになった。幸い予約時間ぴったりに到着し、席に着くと携帯電話を持っていないことに気がついた。ひとり車に戻って探すが見つからない。薔薇のおじさんに電話をかけてもらい音を頼りに探してみるが電波状態が悪いこともあり見つからない。
とうとう諦め、ともかく食事を先にすることにした。

食事のことは明日書くとして…

腹いっぱいになった頃、シェフが仕事を一段落して我々の席にやってきた。会話に花が咲いた頃、店の近くに鹿、猪やら狐、狸も出るという話題になったので、店に来る途中にカーナビの誘導に従っていたら狐につままれたように同じところを回らされたことを話してみた。するとシェフは、あっ…そうですか…カーナビによって、番号の前の持ち主の家附近に誘導されることがあるみたいです…と、申し訳なさそうに話した。

地の食材をいっぱい食べて満足して店を後にした。しばらくして私の携帯電話に電話してもらうが、振動音は聞こえるのに、不思議とみつからない。結局店からかなり遠ざかって、近くの町中に入って晴れ間ものぞいた頃…何度も手さぐりしたはずのシートの下からでてきた。

なんだか、私は、今でも狐につままれた感じがしてならない。
そう言えばシェフの顔は狐顔だ。
ひょっとすると私達が食べていたものは、落ち葉だったかもしれない。