『三つの篩(ふるい)』 ジャニスはおばあちゃんの家にとびこみました。「おばあちゃん、あのねえ、聞いて!おばあちゃんに聞いてもらいたいことがあるの!」 「ちょっと待ってちょうだい」とおばあさんはにっこり笑って言いました。「あなたが話したいことをまず、三つの篩にかけてごらんなさい。話すのはそれからにしたら?」 「三つの篩?」とジャニスはびっくりしてきき返しました。 「そうよ、ジャニス、まず三つの篩にかけてみるの。あなたが話したいことがその三つの篩にひっかからないかどうか。最初の篩は真実の篩よ。あなたが話そうとしていることは本当のことなの?」 「さあ」とジャニスはためらいました。「ほかの人から聞いた話だから。ほんとうかどうかわからないわ。」 「そう、正直な答えね。じゃあ、二つ目の篩にかけてみましょう。二つ目は善悪の篩よ。あなたが言おうとしていることは、もしかしたら、ほんとうの話じゃないのかもしれない。でも、いい話かもしれないわね。どう?」 ジャニスは目を伏せました。「ううん、いい話じゃないわ。ほんと言うと、とってもいやな話なのよ。」 「そう」とおばあさんはにっこりしました。「だったら三つ目の篩にかけてみましょう。あなたの言おうとしていることが、ほんとうでもなく、いい話でもないとするわね。でも話す必要のある話かもしれないわ。どう?」 「さあ、必要かどうか・・・・・・」ジャニスは考えこんで黙ってしまいました。 おばあさんはジャニスを抱きしめました。「あなたがわたしに話そうとしていることがほんとうじゃないかもしれず、いい話でも、必要な話でもなかったら・・・そうね、忘れる、という土の中に埋めてしまおうじゃないの。これっきり、誰の心も傷つけないように。」 (出典不詳) 《世界中から集めた深い知恵の話100(女子パウロ会)》 |