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SOLILOQUY

ひとりごと

 
June 09, 2011 20:39:06

先生

カテゴリー: 日記
昨日、生徒の少ない時間を狙って正午過ぎにギター教室に行った。すると先生と奥さんとマネージャーが、17日に芸術センターで行われる先生のソロリサイタルに向けてのミーティングを行なっていた。私が割り込んだもので打ち合わせはそこで終わり、解散…。先生は「ちょっと待ってて…」と言って昼飯をかきこみに出ていった。戻って来た先生はどことなく元気がない。「昨日から不調でね…ギター弾く気が起こらないのよね…」先生は続けた。「数日前に弾き方を可愛く変えたのよ…ほらこんな風にね(実演しながら)こっちの方が音が柔らかくなっていい音になると気がついたもんだから、この弾き方にすべての曲の弾き方を変えたら、今まで弾けていた曲が、あるところまでいくと先へ進まなくなってね、何度やってもだめなのよ…」私は、問題は深刻だと気がついた。ギターを教えてもらえる雰囲気ではない。しばらく先生の話を黙って聞くことにした。「それだけじゃなくて、今まで正しいと思っていた曲の理解が間違っていたと思うようになってね、例えばソル(ギター曲の作曲家)のこの曲(実際に弾いてみせながら)は今までこんな風に省略していたけれど、楽譜どおりに弾かないと駄目だって考えが変わってきて…、早弾きがテクニックの見せ所のこの曲なんかは(実際に弾いてみせながら)、ゆったりはっきり弾いたほうが素敵だと思えてきてね、答えがひらめいて楽譜に書いておこうと書き始めたら、さっきひらめいたことが思い出せないのよ…。」私は、先生にこう答えた。「先生はデフラグですね!」先生は、予想通りその意味を知らない。思ったとおりのレスポンス「えっ…デフラグって?」待ってましたとばかりに私は答えた。「パソコンで情報量が増えすぎて処理能力が落ちた場合、一旦すべての作業を停止して、取り込んだ情報を整理圧縮し、空き容量を増やすことで、能力の回復をはかることです。」すると先生「はァー…私はデフラグ…ってことね…はァー」先生は安心した様子…「しばらくしたら、すべて解決して、大きく前進しますよ…それにさっきから説明のために弾かれている曲の音色がいつもより美しく聞こえるんですけれど…」先生は笑顔で「弾き方、可愛く変えたもんね…」

目に力が戻った先生はレッスンを始めようとしてくれたが、私は「今日は、譜面だけいただければ充分です。家で練習してきます。」と言って、全く弾がずに教室を後にした。
私は、なんてお人好しなんだろう。そして、一部の弾き方を変えることで、そこまで多くのことに疑問をもてる先生は、なんて純粋なんだろう。

この先生だから、私はギターを習い続けられるのだと納得した。