子供の頃、お盆になると不思議に思ったことがある。大人から“お盆の間は仏様が家に戻ってくるんだよ!”と言われ、心の中で“だったら普段の日に仏壇に手を合わせても誰もいないのかな?”とか“お盆の間にお墓参りしても、仏様は家にいるんだから行っても意味がないのに!”とか“お盆が終わって仏様が帰って行くって・・・どこに帰るのかな。お墓でもなさそうだし・・・”と思いながら、質問しても誰も真剣に答えてくれそうになく、答えられそうになく、あいまいにしておいたほうが良いものだと理解して毎年黙って同じお祭りの場のなかにいた。習慣になってしまったものだから、大人になった今でも毎年繰り返す・・・。今、もし小さな子供から、私が子供の頃に思った疑問を向けられたら、どう答えよう・・・“お盆はお寺が収益を上げるためにあるんだよ。”或いは“いつもはご先祖のことを忘れて過ごしている人達が1年に一度思い出す日なんだよ。”或いは“実は、仏様はお墓や仏壇のなかにずっと閉じこもっているわけではないんだよ。感謝の心をもって思い出す人の心のなかにいらっしゃるんだよ。”と答えるだろうか・・・もう少し続けるとすれば、“仏壇やお墓は仏様の居場所ではなく、あなたの心を映す鏡なんだ・・・だからそこに手を合わせて自分の心を穏やかにすれば、その思いが自分に向けて返ってくるのさ・・・”とでも答えておこうか・・・。 近くに小さな子供のいない私は、今年のお盆もいつもと変わりなく黙って仏壇に向かって合掌した。 |