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SOLILOQUY

ひとりごと

 
August 03, 2010 21:38:49

救い

カテゴリー: 日記
昨晩は、アルゼンチンタンゴを聴く会があり、私も出席の予定で楽しみにしていた。この会はディナーショーというほど固くはないが、演奏の合間にテーブルブッフェで料理が運ばれアルゼンチンワインをいただくという、耳もお腹も両方タンゴで満足しようという企画である。演奏は、ピアノ・バイオリン・バンドネオンのトリオ。バンドネオンとは形状から言うとアコーディオンに似ているが幾分小さな形をしていて、おそらく鍵盤数は少ないと思う。空気を送り込む微妙な手の動きで独特の哀愁のある音色を奏でる。ドイツで作られ、現在はあまり新しい楽器は作られていないようであるが、その希少な楽器は戦前、アルゼンチンに渡り、タンゴの音階とリズムに欠かせない楽器に成熟した。日本では奏者も数少ないため、普段聞きなれない哀愁の音色を聞くため、昨日は多くの音楽通が集まっていた。久しぶりでタンゴでワインを飲んで…それから2軒ほどはしごして…、翌日の朝6時前には職場に出る予定だったので、通勤で往復2時間半を費やすと体力的に苦しく思い、ビジネスホテルも予約しており準備万端…楽しい一夜になる筈であった。そう、その筈であった。
ところが、開演直前に一本の電話が入り、急遽予定外の場所に行かねばならなくなり…結局、一曲も聴けず、一杯も飲めず、何一つ口にできず…主催者に詫びを入れ、ホテルにキャンセルの電話を入れることになる。当日キャンセルは全額支払わなければならないと説明を受けた。
とっても幸せになれる筈の一夜が、突如最悪の夜となった。バンドネオンの感想を書きたかったのだが、そんなわけで違う落ちをつけなければならない。
“人生には、こんなどんでん返しが起こることもあるんだ。”と…

翌朝、再度ホテルに電話したら、「今回は、ご連絡いただきましたのでキャンセル料は結構です。」と…私の人生には、ささやかな救いも用意されていた。