日本の常識のなかに“タクシーの自動扉”というものがある…、外国にはないこのシステムが、ウォシュレットと同じように日本人の繊細な発想力と技術力によって生み出されたものだと思いこんでいたが・・・、(確かにそこのところもあるのだろうが)今日新たな事実を知った。戦後経済発展とともにマイカーブームとなり、車の数が増えるとともに、タクシーも増え同時に利用客も増え、乗客が勝手に乗り降りする際、後方確認をせずに扉を開けることが多く人身事故を含む交通事故が多発し、タクシー会社の責任が問われた時代があったらしい。そしてもう一つの理由は、ご想像どおり乗り逃げが多かったとのこと・・・、そう聞いてみると繊細さと言うよりも、不注意と犯罪防止という、どちらかと言うと情けない理由によるものだったことが分かった。 昨今MKタクシーなる会社が勢いを増し、自動扉を装備しない車で迎えてくれ、運転手が扉を開け閉めしてくれることに、機械化されたサービスよりも高級感を感じる我々であるが、このタイプのタクシーを作ろうとした当初の発想のなかに自動扉の設備を外せば安上がりであるという経済的理由もあったようで、まさに成熟してきた日本人が世界仕様にやっと追いついたがために成し得た発想の転換のように思う。ともかくMKタクシーは、それまでの日本の常識をぶち破った偉業を成し遂げたと私は賞賛したい。 繊細さでも、技術力でも、経済的理由でも、情けない理由でもかまわない。常識は、ぶち敗れる。常識は常に変化する。私は常識を変えていく力を認める目を持っていたいと思う。 |