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SOLILOQUY

ひとりごと

 
July 08, 2010 21:16:17

PP

カテゴリー: 日記
一般的には大きな音はよく聞こえ、小さな音は聞こえにくいということになるのだろうが、音楽の世界では一概にそうとは言えず小さな音でも聞き手に鮮明に伝わる音が存在する。楽譜における音の強弱記号にpp(ピアニッシモ)というものがあり、音のレベルで言うと“極めて弱く”と言うことで、私が理解するところ・・・この音を伝えるためには前後の音楽的構成のなかで、聞き手に聞こうとする気持ちを喚起させることが重要に思う。ppp(ピアニッシシモ)“できるだけ弱く”になると技術だけではなく音に対する感性が奏者にも聞き手にも必要に思う。
私が20歳代後半の頃、巨人軍のピッチャーだった人が引退後に経営していたスナックに行ったとき、カウンターに一人で座っていた男性がカラオケで歌った“酒と涙と男と女”の歌声が忘れられない。かろうじて聞き取れる位のささやきにも似た歌は、ひょっとすると私以外の誰も聞いていなかったかも知れないが、強く私の記憶に焼きついた。人生経験を積んだ四十歳後半の大人の男だからこそ味のある何気ない歌声を真似て、当時何度かその歌にチャレンジしたが一度として満足できるものはなかった。
音というものは、言葉も同じく・・・発し手と聞き手の思いの強さや感性によって音量の強弱ではなく伝わるものがあるように思う。きっと小さな声のたどたどしい話のなかにも美しいメロディーが隠れているに違いない。小さな声・・・声にならない言葉を聞き取れる感性をもった自分になりたいと思う。

さて、あれから年齢と経験を重ねた私は、あの時のカウンターの男性のように、誰かに聞き耳を立ててもらえるような囁き声の“酒と涙と男と女”が歌えるようになったであろうか・・・。