今日のランチに、いつものようにマダムの店を訪ね、ランチにローストビーフサンドをオーダーした。この一皿には私の町で今一番人気のパン屋のバケットにマダムが焼き上げたローストビーフがサンドされており、今日はその隣に白ネギを煮込んだスープと卵を極上のオリーブオイルで和え、玉葱とアンチョビとケッパーを刻んだものをトッピングしたカナッペと…野菜を煮込んだスープが添えられていた。 私は、このランチで昼間からワインを1~2杯飲むことを日曜日の楽しみにしている。 いつものように、一人でワインを飲みながら、ランチが運ばれるのを待っていたら、私の隣の席に場馴れした一人の男性が座った。ランチではなく酒のあてに簡単なものを…とマダムに頼み、私のペースより早くワイングラス空けていく。 今日は、1杯だけ飲んで仕事に戻ろうと思っていたが、隣の客の飲みっぷりの良さに刺激を受け私も2杯目を頼んだ。 直接目を合わせるでもなく、マダムを間に入れて話はするがお互い話しかけるでもなく、勿論名乗ることもなく、適当な距離を置きながら、お互いの時間を尊重する…そんな緊張感のある、気持ちの良い時間が過ぎって行った。 彼は赤ワインを4杯飲み干し、私より先に店を出た。 そうすると、マダムは私に、彼が関西で名の知れた大人の料理雑誌の編集者であることを告げた。 私のような客がいる店をどう見ただろう…、昼間から酒飲みのいる店を悪く思わなければいいのだが…という考えが一瞬頭をよぎったが、すぐにその心配は無用だと思い返した。だって彼の方が酒飲みに違いないのだから…。 彼が、またマダムの店を雑誌に紹介してくれたらいいな…と思いながら店の外へ出た。 |