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SOLILOQUY

ひとりごと

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January 31, 2012 15:12:42

病友

カテゴリー: 日記
数日前に、マダムから薔薇のおじさんの誕生会をするからと誘われ参加した。薔薇のおじさんは、世間で言うところの“薔薇族”ではない。おじさんは若い時に薔薇の魅力の虜になり、勤めていた一流企業を離れ、数年前まで薔薇の花だけの花屋を経営していた。純粋に美的感性は高いが、決して男好きではないと思う。本当はそうかも知れないが、そのあたりを知るほど親しくはない。結婚はしていたようだが、当時の奥さんの話は誰からも聞かない。そして75才になった今でも私なんか及びもしない話術で、若く綺麗な娘に声をかけるている。

薔薇のおじさんと出会って、もう25年ほど経つが、改まって話をすることがなかった。しかし6年前に私が救急車で運ばれて手術をしたちょうど同じ頃、おじさんも全く同じ病気で入院するという偶然があり、以来よく話をするようになった。

発病当時、私のほうがの病気の症状が重く、また若かったから生存率12.5%の緊急手術を受け人工血管を装着した。その結果“生”の狭き門をくぐり抜け回復して普通の生活を送れているが、おじさんは年齢のこともあり手術することなく薬だけで症状の悪化を抑えて生活しているものだから、私に比べれば、どことなしに元気がない。

要するに私と薔薇のおじさんは病気友達であり、どちらかと言うと私は弱気になりがちなおじさんを励ます役目なのである。おそらく誕生会にマダムが私を誘ったのは、そこのところの配慮があったのだろう。

自分の年齢を忘れるようになった。誕生日なんてどうでもいい…。だから他人の誕生会に参加したいとは思わないが、薔薇のおじさんは年齢に開きはあっても、同じあの痛さ、苦しみを知っている。ある意味兄弟や子供よりも自分に近い存在のように感じる。

おじさんは、誕生会の参加者の誕生日を手帳に控えていた。もし私の誕生会を…なんて話が出ても私は拒否するつもりだ。なんてたって、この年で、それは照れて、どの面下げていればいいか分からない。心配しなくても声はかからんかな…。

ともかく、昨年前立腺癌の手術をした薔薇のおじさんの健康を、改めて今日、祈っておこうと思う。
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