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SOLILOQUY

ひとりごと

 
December 07, 2011 14:26:47

宿屋

カテゴリー: 日記
私の友人の一人が今、パリに行っていてメールで宿泊先のホテルの広場に面したテラスで撮った写真を送ってきた。

私がフランスに行ったのは今から35年前だった。1ドル360円の固定相場制の時代である。卒業前の貧乏旅行で行ったヨーロッパ(イギリス・フランス・スペイン・イタリア・ドイツ)巡りの旅を思い出した。
パリでは、モンパルナスの安宿に宿泊した。建物の一番上の階まで階段で上がり、部屋の扉を開けると屋根が傾斜した小さな部屋に質素なベッドと机だけが置かれていた。部屋の隅の天井高は1mほどしかなかったように思う。
窓のない部屋には天井に明かりとりがあり、その下に椅子を持って行き、天窓を開けて頭を外に突き出してみた。そこには、歩いていたら知ることのできないパリの家並の屋根が連なった光景が目の前に広がり、それぞれの屋根に高くそびえた煙突から煙が何本も立っていた。

初めての一人旅…しかも海外にやってきた自分が、まさに外国にいるんだ…という実感を強くもった一瞬だった。おまけに夜中に古い建物に巣食う大きなネズミが部屋を横断した。当時の旅の経験は、お金では買えない財産として私の記憶に焼きついた。

友人の宿泊するホテルは、送られてきた写真から高級ホテルに思われた。
若き日の旅の記憶が蘇ると同時に、年齢と経験に応じたホテルに泊まりたいものだと強く思った。

次回パリに行くことがあれば。私も公園に面したテラスのあるホテルに泊まってみたい。