今年の2月に69才になる独身を通したマダムは、老舗旅館の次女である。旅館は長女が継いだ。 マダムは35年前に私の町で最初にシェフを雇った町場のフランス料理店のオーナーになり30年続けたが、時代の流れに外れ閉店し、今の場所で一人だけのカフェ&バーを始めて5年になる。 フランス事情に詳しい人から、最近のフランス人は、結婚する前に同棲してみることが一般的で、いっしょに住んで、本当に共に生きていける相手か確かめるという話がでた時… 彼女は自分の結婚感を話した。 「もうこの年で結婚はしたいと思わないけれど、好きな人ができれば1週間に一度ホテルで会うだけのスタイルが理想だわ…。」 若かりし頃に同棲した男性の借金を抱え苦労した彼女は、べったりいっしょに生活する共同生活に懲りたようだ。 彼女と違って、私は結婚も同棲も拒否はしない。ただ一度離婚を経験した私にとっては、結婚はゴールではなく一つの選択肢に過ぎない。 私の理想は3つの家が存在する関係である。お互いに個人の住まいがあり、そのうえで一緒に住まう家がある。1週間に半分は一人で過ごし半分は一緒に過ごす。そんな関係が最高だ。人間関係を新鮮に保つためには一つのあり方だと思う。お金はかかるだろうけれど…。 思いもよらない事から、離婚を経験した私も、今から出会う未知の人と、べったり生活することに抵抗があるのはマダムと同じだ。 人それぞれに考えがある。それぞれが経験を繰り返しながら、新しい経験に向かう。 さて、私はこれから結婚することがあるだろうか…今の自分には分からない。 |