オーストラリアから一通のメールが届いた。キャンベラの国立図書館の研究員の女性の近年の研究が、国際赤十字社とスイス政府の支援を得て本になったと言うので、その全文を送ってくれたのだ。 全文英文である。英語が得意ではない私はまだ読んでいない。 そもそも彼女と初めて出会ったのは、4年前の日本で行われた彼女の講演の時だった。講演が終わってすぐに名刺交換し、翌日彼女の宿泊するホテルのロビーで面談した。その数日後、このたび完成した本のための現地調査として半日かけて、国内で埋もれた歴史となりつつある敵性外国人収容所跡地を巡る調査活動に同行した。 道のない道を進み、落下の恐れがあり通行を禁ずると表示のあるトンネルを抜け、辿り着いた先には、僅かに70年前の施設跡が残っていた。 あの時に木々の間から見上げた青空や鳥のさえずりを思い出した。 彼女は、着実に研究をつづけ、形に残している。 私も、頑張らねば…と、思った。 |