夏祭りの日、私達の主催するゲームブースの隣に、輪投げのコーナーがあった。 ペットボトルを二つに切り、下の部分にお菓子を詰め込んだ棒状の袋を突っ込んで、それに投げた輪が入れば、そのお菓子がもらえると言うゲームだ。100円で5投でき、輪が入ったお菓子は全部もらえる。投げるラインから近いところに10cmほどの長さのお御菓子が置かれ、一番遠くに50cmほどの沢山お菓子の入った長い袋が置かれていた。 最初のうちに遠くにおかれた一番大きなものを狙い、4投目くらいから確実に近くのお菓子を取りに行く人や、最初から近くのお菓子だけ狙って確実に持って帰ろうとする人等様々で、横目見ていると面白かった。 気が付くと知人の学者が輪投げにチャレンジしていた。70才に近い彼女は、最初から目標に据えた遠くのお菓子だけを狙い続けた。そして最後の1投も迷うことなく同じ目標を狙って見事に全部外れた。笑ってはいるけれど悔しさが見て取れた。 私は、ひょんなことで研究者魂をみたように思った。最初の目標、推測を最後まであきらめずに全うする。ふらふらするようじゃー研究なんて続けられないのだろう。 あとで私の感じたことを彼女に言ったら、苦笑いしながら“もう一度やろうかしら…。”と彼女は言った。 なんでも、じっと見ていると、いろんなことが感じ取れ、面白いものだ。 |