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SOLILOQUY

ひとりごと

 
February 15, 2012 20:58:15

記憶

カテゴリー: 日記
昨日の早朝、会社の近くにある文化財指定を受けた異人館が火事になったことを、訪ねてきた叔母の話で知った。私は10年前までその建物に仕事で週に一度は訪ねていたこともあり、内部の隅々まで熟知しており親しみを感じる洋館だった。
昨夕、帰り道に焼け跡の前を通れば、木造火災特有のきなくさい匂いが立ち込め、熱のためにガラスが砕け、かろうじて窓枠だけが残った明かりの漏れることのなくなった外壁が目に入った。

おそらく、数年後に建物は復活するだろう。しかし私は新しい建材を使用して美しく蘇る建物を訪ねることはないだろう。

家の主たちが、生活するなかで傷つけた柱や真鍮の取っ手の傷が私のなかで蘇る。

ふと、私の記憶のなかにのみ存在するものが多くなったと感じた。
これが年をとったという事か…
私の周囲のものが、消えて行き、
私も消えて行く。

私の記憶は、誰かの脳裏に焼きつくだろうか…

あなたは、覚えていてくれるだろか…