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SOLILOQUY

ひとりごと

 
September 11, 2010 23:33:02

カフェ

カテゴリー: 日記
先日、時間潰しにカフェに入った。こじゃれた内装・インテリア…。スターバックスが日本に上陸した時、日本の将来の喫茶スタイルに大きな影響を持つ新業態店舗だと噂を聞き、その第1号店を自分の目で確かめに東京まででかけ、世の中の先どりした気分で帰ってきたことを覚えている。あれから、あっという間に同じスタイルのお店が日本全国に広がった。私が入ったお店も、その流れに乗った我が町のコーヒー豆卸業者が直営で全国展開しているカフェである。セルフサービスでコーヒーを受け取り、ゆったりした椅子に座ると横の本棚に置かれたディスプレイ用の数冊の洋書に目が留まった。表紙を開けると、おそらく古書店でまとめ買いをしてきたものだろう・・・鉛筆で書かれた価格表示があり、文章だけのものは300と表示されていた。なかに一冊だけ、しっかりした装丁の本があり表紙の絵を見てすぐにアメリカ人画家、アンドリュー・ワイエスの画集だと分かった。思わず手にとりページを繰り始めた。彼の絵との初めての出会いは、高校卒業直後、京都市立博物館で開催された原画展であった。作家の自宅周辺の自然や建物や人々を、斬新な構図と熟練した表現力で描きあげた完成度の高い具象画は、絵を志していた当時の私に眩しく写ったものだ。美大卒業後、企業に就職・・・、退職後に、ぶらりとでかけたアメリカ合衆国一周旅行でも、各都市の美術館で彼の絵を探し歩いた。日本に戻ってから、彼の住んでいる街を訪ねなかったことを後悔したものだ。その後、旅行の記録として画文集を出版した後、芸術の分野とは、ある意味正反対のビジネスの世界に足を踏み入れ30年余り・・・、自分の持っている彼の画集を開くこともなく時は過ぎていった。

年代順に並んだ彼の画集・・・私の記憶する絵画が続いた。1980年代以降の作品は見たことがない。どこまで続いてくれるか不安を感じながらページをめくる・・・。1990年代、2000年代と・・・以前と変わらぬ彼の絵があった。私が、人生に翻弄されていた間にも、変わらず描き続けた画家の魂があったのだと思い、なんだか嬉しくなった。
翌日、調べてみれば、彼は2009年1月16日に逝去したと知り、冥福を祈った。

さて私は今、彼の画集に、いかほどの値段がつけられていたか、確かめ忘れたことが心残りだ。私は下世話な人間だ・・・ ・・・ ・・・