数年前まで、人の心を変えようと努力したことがあった。でもそれは私の力量を超えるものであると納得した。人の心はそんなに単純なものではない。DNAとかカルマとか人生経験とか生活環境とか宗教とか親の考え方とか挫折とか・・・語りきれない複雑な要素が絡んで人の心は成り立っている。人生経験の僅かな私が、いくら知識を得て頑張って熱弁をふるっても、人の心を変えるなんてできるわけがない・・・と思った瞬間、気持ちが楽になった。 小さな私が考えることは、その人に対してどれだけの時間を割くかを見極めること・・・自分の力量を超えて接さねばならない人には、時間をかけない。他の人の力や時間の経過でその人自身の力が満ちることに任せれば良い。自分自身の力量がその程度だと認識することが、お互いのために賢明だと思う。 ただ、どうしても放っておけない人に手を差し伸べねければならないことがある。この場合は、その人を信じなければならない。心から信じきって、その思いを言葉ではなく伝えねばならない。そのためには待たなければならない。どれだけ時間がかかろうと待たなければならない。そんな人が自分の周囲にいるということが私が生きている証だと思う。 |