私は普段二つの目で物を見ている。片目づつ交互に目を瞑って目の前の物を見ると、微妙にズレが生じていることが分かる。このズレが対象との距離感や立体感の認識を生む。両目のズレをうまく再現した表現技法が3Dであるわけで・・・両目で見た二つの輪郭線を、二次元上で1本の線にする事は単純に中間をとっているか、こんなもんだろうと適当なところを決めていることになる。そしてもう一つ、対象を見るときの首の角度・向きは描こうとする二次元の画面を見るときのそれとは一緒ではない。このようなことから机に置いたティーカップを描く場合、最初に対象をイメージで捉え画面上でそれらしく見えるように対象を見ないで描いた方がそれらしく見える・・・このことに気がついたのだ。うまく見える絵は見て描いているのではなく頭で描いているという・・・普段から私が言っている原則はこのような理由からである。そして、この事に気がついている人はほとんどいない。私の出会った人のなかでは2人しかいない。(続く) |