昨日、自称職業“クラシックギターのプロフェッショナル”と称する40才代前半の男性が奥さんとともにやってきた。 来年2月から私の会場で、3ケ月に一度ほどのペースで、人前で演奏するとガチガチに緊張してしまうような素人音楽家を集めて演奏会をしたいと言うのだ。ただし会場費はあまり払えないと言う。 本題に入る前に世間話をした。彼に「私は、幾つに見えます?」と、例によって尋ねられたら困ってしまう質問を投げかけると「50才の前半だと思うのですが、もしかしたら40才の後半かも知れない。」と答えた。 若く見られたい私にとっては、まぁー合格点の答えだ。 彼が、プロのギタリストの前に“自称”と言ったには訳がある。実は彼には今、一人しか生徒がいない。ギターでの収入はそのレッスン料だけなのである。 生活費は音楽とは関係ないアルバイトをして稼いでいる。 彼の話を聞いてみると、ギターだけで生活している人は皆無と言っていいようで、ほとんどの人はアルバイトをしないと生活できないらしい。 ギタリストだけでなくアーティストと呼ばれる個人事業者はみんな、生活が大変なんだと思い知る。 ギタリストの妻は、そんな主人に従い連れ添っている。 彼らを見ているとお金がなくても、音楽と互いの人柄を通して、いっしょにいられる関係だ。これを“愛”というのだろうか… 私にお金が無くなると思い、離れていった別れた妻のことを思うと考えるところが多い。 私は、彼のいい値で、会場を貸すことにした。 |