京都でシャガール展が開催されている。シャガールが好きかと聞かれたら好きだと答えるが、観覧順路を押し出されるように人に背中を押されて絵の前を通り過ぎるような展覧会を観に行く気にはなれない。 そもそも、シャガールの良さを自分で納得している人がこの世に何人いるだろう。ほとんどの人は、みんながいいと言うからとか、値段が高いから…いい絵だと思っているに違いない。 結局ほとんどの人は芸術に対する自分の価値観を確立できていない。他人の様子を見て追従するだけだ。 私は、世界一の名画と言われる“モナ・リザ”が、どうして世界一なのか分からない。35年前にルーブル美術館で観たモナ・リザは、ただのふくよかなおばさんだった。私のような感想を持った人は大勢いると思う。しかし私の知る限り誰一人声をあげない。“芸術の分からん奴だ!”と思われるのが恥ずかしいからだろうか?それとも、“分からないことはそっとしておこう。”と、思うからだろうか? 私には、自分の好みがあって、好き嫌いが言える。分からないことは分からないと言える。 私にとってシャガールの絵が好きな理由は、作者の目で見たものはなく、頭のなかに浮かんだことを表現しようとした行為に魅かれるからだ。絵そのものの価値よりも、ものの捉え方に魅かれる。 作品そのものに価値をもとめるのは画商とコレクターだけでいいと思う。何故作者がその絵を描いたかという動機に興味がわけば、その絵に対する自分の価値観が確立できる思うのだが…私の考えをあなたはどう思われるだろう? モナ・リザが、ただのふくよかなおばさんにしか見えない私の言う事など、聞き流しておいたほうがいいかも知れない。 |