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SOLILOQUY

ひとりごと

 
June 12, 2012 14:36:59

撤退

カテゴリー: 日記
友人のパン屋が17~18年ほど前にできた商業施設に完成当初から入居していたが最近撤退した。その町は埋立地で、市の威信をかけて造成した人工島である。外資系企業や外国語学校や、町を代表する画家の作品を展示する美術館を有し、人工運河に水の流れる美しい公園を配置した年収1000万円程度の所得層の人達が入居するマンションが数棟建ち並ぶ大阪のベッドタウン的未来都市として、完成当時、公園には子供達の声がこだまし、飲食店街には沢山の外国人ビジネスマンが闊歩していたが、子供達は成人して町から離れ、介護産業が栄えるほど老人はおらず…、それに外資系企業が日本を撤退していくものだから、この町はすでに風化が始まっている。
気の利いた小物やインテリアショップやブティックがなくなり映画館がなくなり、レストラン街も寂れ、従って町のあちこちの施設で閉鎖フロアーが目立つ。

“ブティックや小物店が撤退した跡に、家具屋が入居しているからまだましだね…。”と友人に言うと、“彼らは固定家賃ではなく売上歩合で契約しているはずで、大きなフロアーを手っ取り早く埋めることができるのは家具屋しかないのさ…。商業施設に家具屋が入ったら、その施設は末期症状だよ!”と、なるほどと思える答えを返してきた。

私の友人がこの町に見切りをつけた気持ちもよく分かる。
企業が10年継続することが難しいというが、新しい町は15 年足らずで確実に衰退期に向かうように思う。

それでも、町が一度は栄えた時期もあったことだし、友人も潤ったこともあったのだろう。一度も栄えず閉鎖されていく施設があることを考えれば、撤退して存続の道を探れることは幸せというものだろうか…?

縮小出直しをはかる友人の巻き返しを祈りたい。