昔、男は獲物を追って野山を駆け、家族に食物を持ち帰った。 昔、男は地を耕し種をまき、世話をし、収穫時期を待って糧を得た。 昔、男は網や銛を持ち海に出て、太陽に体を焼かれながら獲物を待った。 昔、男は地を守り、自分の地を広げるために、命がけで敵と戦った。 昔、男には守りたいものがあった。育てるものがあった。戦うべき理由があった。 今の男の手には、槍も弓も刀も盾も銛も網も鍬もない。 今の男の手にはパソコンキーがあり、自分だけの仮想空間でヒーローとして守り、育て、戦う。その意味は辞書のなかの言葉として知っている。 しかし、自分に一つしかない本物の命をかけて、本当に育て、守り、戦うことを知らない。 昔、男は相手を叩きのめす力がないと生きていけなかった。しかし今は頭が良ければ生きていける。頭だったら女性との優劣の差は小さい、あるいは逆転する状況も多々ある。 ついこの間の昔、平均寿命が40才未満だった頃、子孫を絶やさず、より優秀な血をもとめて子作りに励まなければならなかった。しかし、さらに高齢化社会へと向かう今は、人口増加への生物の抑制本能が当然、機能し始めた。 男の価値って、これからの時代なんなんだろう。 戦う本能をもった女性が増えていくなかで… 自分ながらに“なでしこジャパン”を考え…思った。 |