数年前、自分のルーツを探す旅に出たことがある。徳島・四国を巡った。そして家系図ほど精度の高いものではないけれど、おおよそ450年の間に、一族がどのように住まう土地を変えたかを知った。 まさに戦の勝敗の結果で居所を変えたのだ。悪く言えば追手から逃げた。人里離れた不便なところに人が住んでいることがあるが、彼等にとってそこは、命がけで辿り着いた安全な場所なのだろう。 故郷を大切にする気持ちは大切だと思う。生まれた土地は特別だと思う。先祖の墓は守らなければならないと思う。 しかし、私が名乗る姓のなかに戦いの結果で居所を移ったという遺伝子があるとすれば、今住まう土地から将来離れることがあるかも知れないと予感する。 土地は私のものではない。国のものでもない。誰のものでもない。 そんな思いを持って、いつでも今の住家から移り住む心構えをしておきたいと思う。 |