昨晩マダムの店で、“能面を愛でる会”が開かれ私も参加した。普段、“能”など観ることもなく、ましてや能面などと言う美術品に、手で触れる(手袋をして)ことのできる近さで接する機会はないのだが、マダムの店の常連の一人に500年以上続く能面師の血を引く家系の人がいて、家宝として伝わる能面を興味にある人に見せる機会を作ってほしいとマダムが頼み込んで実現した会なのである。
前半歴史の話から始まった。能面の研究に関連して分かったこととして“明智光秀は本能寺以後すぐに打たれたとなっているが、光秀という名前は消えた本人は別人となって生き続けた…とか、葛藤という言葉の由来…、明治天皇は途中で違う人間に入れ替わったとか…、勝者が打ち取った相手一族の怨念を交わすために、どのような手を打ったか…。”など、教科書には載っていない歴史秘話を聞かされ楽しい時間を過ごさせてもらった。だけど、どこまで本当だろう?
般若が1面、若女が4面(未使用)、桐の箱に入った計5面を見せてもらった。普通ならガラス越しにしか見ることのできないものを、解説つきで、穴の開くほど見れたものだから、会の後半には、それぞれの作品の出来栄えの違いが少しは分かるようになった気がした。
二度と同じ経験はできないと思う。マダムに感謝である。
私の人生における経験値が確実に上がったと思う。
物作りには類まれな才能に恵まれ、努力を続けている人がいて、そして、それを大切に手入れしながら守り続ける人がいるものだと、つくづく思った。 |