マダムが書き溜めた詩のなかから自分で気に入った数遍を選んで詩集を出すことになった。マダムは若い女性画家に詩を渡し一遍〃〃の詩をイメージした絵を描いてもらった。 マダムから先日その絵を見せられ感想を求められた。もともと文章に敏感ではない私は詩を味わう感性にかけるところがあるが、それでも思い浮かんだことを話した。 “絵そのものは額に入れて飾りたいくらい素晴らしいと思いますが、絵が主張し過ぎていて、文字とぶつかってしまっているように思います。こういう場合の絵は詩を活かすことに徹し裏方に回るくらいのスタンスのほうがいいように思いますが…。” するとマダム“そうかしら、私は絵を描いてって、彼女に最初に話をした時に、自分の画集を作るつもりで思い切って描いてくれればいいって言ったの…。最初から彼女の絵は私の詩の挿絵ではなくて、この本は詩と絵の本だと思っているんだけれど…。”と、言われた。 構成役を買ってでたのは、さすがにマダムの広い人脈のなかから東京在住の有名作家の出版物のデザインを手掛けるデザイナーである。おそらく、その人は私の及びもしない能力で素晴らしい作品に仕上げるのだろう。 物そのものも良さや味わいは…勿論大切だが、その物をどう見せるかという配慮が欠けていたら、どんな素晴らしい物も光を失うことを、私は知っている。 東京のデザイナーのお手並み拝見だ。マダムの詩集が素晴らしいものに仕上がることを信じて待ちたい。 |