昨日、今は地元函館でフレンチレストランのオーナーシェフをしている…以前私の部下だった男がやってきた。大阪で行われた食のイベントへの出店のため18年振りに関西を訪ね、シェフ仲間に会うことと、私の父の位牌に手を合わせるために神戸まで足をのばしてきたのだ。 私の父はとても彼を可愛がっていたので、彼は父に世話になったことが忘れられないらしい。彼が会社を辞める際に、私も彼もまだ若かった。思い返せばあまり気持ち良い辞め方とは言えなかったので、一昨年私が彼の函館の店を訪ねるまで15年間連絡不通の状態であった。思い切って予約なしで彼の店の扉を押し開いた時の、シェフのびっくりした顔が今でも忘れられない。 以後、また連絡を取り合わない月日が流れたが、今度は彼の方から連絡が入り再会できた。彼と私の二人の知るシェフの店でランチをゆっくりととり、若かりし頃の未熟さを語り合い、現在の商売の厳しさを話し合い、そして最後に“これからの人生は、自分のやりたいことをやって、楽しく生きていきたい。”と話を閉めた。 食事のあと、彼を家まで連れて行き、お参りを済ませ、とんぼ返りでまた町に戻った。いろいろな話ができ、二人の間に少し残っていたわだかまりが消えて行った。 一つ残念なことがある。車を運転するため、美味いランチを食べながらワインを飲めなかったことだ。 次回彼と会う時には杯を酌み交わしたい。 |