現代の都市には、至る所に直線が見える。ほとんど直線でできている…と言っていい。 人間が動物に近かった頃やそれ以前には、世界に直線は存在しなかった。正確に言えば、自然界のなかには今の人間が作り出す直線よりも、もっと精度の高い直線があったかも知れない。例えば洞窟に差し込む“光”とか、鉱物の結晶のなかに…。 人間が直線を何故生み出したかを考えてみた。獲物を射るため、空気抵抗を減らし、より遠くに正確に到達するための矢や槍が必要だったからではないだろうか?次に人間は神々の領域に近づくために建物を天へと積み上げた。その時に建物本体にかかる重量を地面に効率よく伝えるために柱を直線で作るが必要があったのではなかろうか…極めて合理的に? 都市を歩くと、人間が作りだした直線で溢れている。 山の中を歩くと直線など一つも見当たらない。 人は、どうして自然のなかに入るとリフレッシュするのだろうか? 本来都市は、人間の活動すべきところではないのではないか? そこのところに、テーマをもつ設計家には興味がある。 直線に頼らずに構造物を作ることのできる技術が発展した今だからこそ… 居心地の良い都市空間が生まれてくると予感する。 |