今日は“ピアノとギターのコンサート”の最終回だ。朝からピアノの調律師がきて仕事をしているが、高音域の弦が一本切れてしまった。張り替えるか、それとも3本の弦のうち残りの2本だけで演奏してもらうか…の問題あると説明を受けた。 張り替えた弦は音が安定するまでに時間がかかり、今から張り替えたら演奏中に大きく狂う可能性があると言う。反して一本足らずに演奏するとその音だけパワーが小さくなると言う。 そう言われても、私にはピアノの音に関する造詣が足らず答えられない。続けて説明を聞いてみると…よほど耳の良い人でないと一本足らないことは気付かないし、演奏者も分からないかも知れないと言う。 結局、現時点での調律師のベターアンサーは2本の弦でコンサートを迎えたほうが良いと言っているのだと分かった。 私に相談したように聞こえたが、ピアノのことが分からない私に確認を求めただけなのだ。そこまでは理解できた。 なんにでも、分かる人と分からない人・気になる人と気にならない人・繊細な人と鈍感な人がいる。 今、調律師と私は、まだ来館していないピアニストに、最初に弦が切れていることを伝えるかどうかを思案している。伝えてしまえば、ピアニストの心にかえって迷いが出るかも知れない…と心配したのだ。 結論は…言わないことに決めた。気がついた時に説明したほうが良い…という判断だ。 何回も顔を合わせているギターの先生のお気に入りのピアニストには、気が付いてほしいと思う気持ちと、何事もなく終わってほしいいと言う両方の気持ちが私の心に去来する。 もしも、誰も気が付かなかったら。私と調律師の二人だけ…それとあなたとの秘密として、永久に封印されることになるだろう。 分かったら、謝って説明するしかない…。 |