予想通り今朝の冷え込みは厳しかったが、幸い雪は降っていなかったし、家の近くを流れる小川の流れも凍ってはいなかった。しかし、強風のせいで体感温度はことのほか冷えていた。今日は掃除だけの予定で、何も持たずに家を出た。どんより曇った空の下を、凍てついた国道を走り山道に入った。その分岐路から山を越えるまでの間、路面が完全に凍結していて立ち往生した車のスリップ跡がやけに目立っていた。今日は、写真撮影には、不向きだと思い込み例の山には寄らず通り過ぎたが、葉の落ちた木々の間から一瞬垣間見えた空にこれまで見たことの無い山陰が見えたので、思わず車を止めて鞄を探した。しかし今日に限っていつもなら必ず持っているカメラを入れている鞄がない。少し道を下がったところにある誰もいない強風の吹き晒す展望台に登ってみると、紀伊水道を挟む和歌山と四国の山並みが実に綺麗に見渡せた。年末で空気が澄んでいるうえ、強い寒気が地上の不順物を全て吹き飛ばしたためだろうか・・・携帯電話のシャッターを押しながら、“こんなものだ。人生ってこんなものだ。”と呟いた。なにせ鞄を持たずに家を出るのは、今年始めてかも知れないのだから・・・ 自分の記憶に今日の景色をしっかり焼き付けておこうと思った。 凍てた厳しい時にこそ遠い先が見渡せることを肝に銘じておこう。 これで、今年の元旦の夢が一つ叶う。 いつもと同じように地球は音もなく回り続け、いつものように明日がやってくる。 来年の夢は、明日考えることにしよう。 感謝… |