自分の演奏が、くじ引きの三番目で早く弾き終えた私は、ステージの一番前に席をとり、同じ生徒の演奏を聴き入った。ほとんどの人が私の演奏曲より難しい曲(やはり私が一番の新参者であった)を弾いていた。上手い人は、いるにはいたが、当たり前のことだがプロではない。プロとは、ちょっとぐらい出来ても光らない。アマチュアだと思うから上手に聞こえる。それに比べ、最後の二人のプロはさすがに、会場を唸らせる演奏を聴かせてくれた。プロとアマの演奏を極近くで見て聴いて・・・その違いを分析してみた。そうすると二つのことが明らかになった。一つは転換力・・・普通に話をしていて一瞬で演奏者の顔にギアチェンジする切り替えの凄さ・・・。二つ目は転換力にも関連するが、一音一音を大切にする集中力・・・アマチュアと比べて格段に高い集中力(周囲が目に、耳に、入らないような・・・)を感じた。集中によって無呼吸状態が続き、そのために、一瞬の酸素吸引が必要で、私が耳をすませば呼吸音が響いていた・・・生徒の演奏では絶対聞こえなかった吸引音がプロの二人からはさかんに聞こえた。これはステージ前に陣取った大きな成果だと思う。 集中力の違いを歴然と理解した私は、今朝出社前にギターを弾いたときに、意識して音への集中を高めてみた。するとあきらかに今までと違う音がした。いままでいかに一音を大切にしていなかったかを知った。続いてプロの吸引方を真似てみた。しかし、何も変わらなかった。呼吸だけ変えて集中力が増す訳がない。集中力が高まれば自然に呼吸方が変わると思うことが正道である。 あんな呼吸方で演奏がしてみたいと・・・逆接的に考えてみた私である。 このままでいくと、次の発表会では私は飛躍的な進歩を遂げているような気がする。・・・などと言うことを考えている・・・幸せな私である。 |