他人を動かす大きな力を二つあげるとすると・・・“恐怖”と“私利”だと思う。事業で例えると、鬼のような顔を作って“あほ・ボケ・かす!”と、たたみかけて従わせるテクニックと、クールな顔で“君、最近、数字どうなってるの・・・このままだと査定が下がるよ”と言って頑張らせるテクニック・・・などといったところだろう。私の経営していた会社では、そこらへんが中途半端で、私は鬼になれなかったし、クールでもなかった。そんな自分の器が分かったから、現実には、二度と多くの部下を持つようなことはないと思う。仮に自分がもう一度組織のリーダーになるとしたら、徹底してクールに振舞いたい。今では、組織を動かすためにクールであることが、クールに判断できる部下を集め、動かすために必要であり、全体の利益につながると納得している。全てに手を差し伸べる優しさは、自分と部下を、そして組織をも滅ぼすことになるに違いない。他人を動かすもう一つの要素をあげるとすれば、純粋な“愛”だろうか・・・ただ、これはスクリーンでのドラマの組み立て上、重要なファクターに違いないが、現実には、他人の心を震わせ、勇気に満ちた行動を起こさせる“愛”には、なかなかお目にかかれない。世の中は中途半端な愛に満ちている。私も中途半端な“愛”の持ち主かもしれないなぁ・・・ 税金の支払い(法人税:私の会社は10月決算である)のために銀行へ行った。昨年と同じように、信号待ちのため街角で立ち止まると・・・後ろから、募金を呼びかける少女の声が響いていた。小銭入れ(残念ながら札ではない)から硬貨を掴み(幾らかは分からない)募金箱に落とし込んだ。今年も募金できた自分を幸せに思った。 |