山などが空を区切って作る輪郭をスカイラインと言う。 風景を描くときにはこの線が大切になる。山を描く場合、一般には数本の曲線の重なりによってスカイラインを表現する。ところが山の頂近くまで登り見上げるとスカイラインは樹木の枝や葉や岩の形だということが分かり、単純な曲線はどこにも見えなくなる。 遠くから眺めるとおおまかな流れをつかむことができるが、実はその流れは、一つ一つ形の異なるものの集積で作られていることを知ることは大切ではなかろうか…。 私は、30年前に絵を描いていて、スカイラインを良く見ると、ギザギザなんだと気が付いた。空と山とのせめぎ合いによる複雑な形が見えるようになった。 絵を描くときには、そのことを知って描いた方が良いのではなかろうか…。 大きな流れのなかに、それを構成する幾つもの個性ある愛おしいものが含まれていることを…。 音楽もきっと同じだろう。一音一音を大切にした演奏が人の心を打つ…。 同じ曲の演奏での良し悪しは、それしかないのではないか…。 死ぬまでに一度でいいから、大切な人の心を打つ…一音を大切にした演奏がしてみたい。 |