昨日、居留地研究会の本年最初の研究発表会に出席した。いつものように二つの研究発表があり、一題は大学名誉教授の“神戸阿利襪園”について…、もう一題は小説“風果てぬ”の原作者の発表だった。
二つの発表には大きな違いがあった。最初の発表は歴史的事実だけを取り出してまとめたもので、まさに研究であり事実が100%に近い学問である。二つ目の発表は小説家の発表である。作家自ら言われたが歴史小説というのは概して事実40%フィクション60%だと言うのだ。昨日ほど、学問と研究が目指すものの違いを感じたことは無かった。
特に、昨日の会は研究会だから、いつも事実100%に近い発表が行われている。そのなかに昨日のように推測や思い込みを入れる小説家の話があると違和感を感じてしまった。実は“風果てぬ”という小説を私は読んだことがあり、その時は、そこそこ感動したのだが、昨日のような場所での発表だと中身がくすんでしまう。
さて、私が今制作に取り掛かっている作品では、原作者の書いた内容を、事実と推測の部分とに分ける作業から始めている。昨日は改めて、その動きの正しさを感じた。私は、研究者にも一般人にとってもインパクトのある作品にしたいと思っているのだ。
|