昨日、私が高校生のときに好きで聴いていたジャズアーティストの曲をユーチューブで検索して聴いてみた。世の中の汚い部分を見ることのなかった…あの当時は今より美しい物に敏感だったように思う。 モネの展覧会で、水連の一枚の絵に釘付けになり、目を閉じることができなくて涙がこぼれた。“ビルエヴァンスのアローン”というレコードを聴いて、なんだか分からない感情が体の奥から溢れ出し涙がこぼれた。 技術だけではない…数字や言葉で説明のつかない価値観があの頃、私のなかで、急速に育っていたように思う。 あれから、40年という歳月が流れた。 美しいものにたくさん接して、その奥に潜む醜い部分や、何気ない普通のものに隠れた輝きを発見した。でも、もう涙が流れ出すほどの熱い思いは蘇らない。 何度も繰り返し回し、針が盤を削る雑音の入ったレコードを引っ張りだしてみようと思う。プレーヤーもどこかで手に入れねばならない。 さて、あの当時…私の心を揺さぶった…腹の底から突き上げてくる感激が再び自分のなかに生まれるだろうか…? …そう考えた時点で不可能だと悟った。 |