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SOLILOQUY

ひとりごと

 
October 20, 2011 15:23:56

蕎麦

カテゴリー: 日記
以前から気になっていた藁ぶき屋根の蕎麦屋を訪ねた。家から高速道路で1時間ほどの田んぼのなかにポツンとある古民家の一軒屋である。正午を少し過ぎた頃に近くまで行くことができた。
今まで走ってきた舗装された道路には道標や看板類は何一つない。車一台がやっと通れるあぜ道に折れ、200mほど進むと、突然数十台の車が止まっている空地を利用した駐車場が現れた。田んぼの中の別世界である。
外から建物のなかの様子を伺うと、どうやら満席のようで、扉の内側にも数十人の待合の客がいるように見えた。それどころか停車している車のなかにも大勢人がいる。
昼の蕎麦屋のことだから、回転が早くて、どれだけ客が多くても1時間も待てばうまい蕎麦にありつけるのだろうが、私は待つことが大の苦手である。それで、待合客の冷たい視線を浴びながら蕎麦屋を後にした。

地元の人が昼に、こんなに込み合う蕎麦屋に来ることはめったにないだろうから、ほとんど都会からやって来た観光客だろう。ここで食べる蕎麦も都会で食べる蕎麦もあまり味に変わりはないと思うのだが、都会の人がいかに田舎や自然や古民家やらに憧れを持っているかが伺える。

以前私は、やはり住宅地のなかに忽然と店を構えるロールケーキ屋に1時間以上並び、買って帰ったことがある。待ったもんだから、その時間の元でも取るように、ほとんどの客が10本単位で購入し大きな紙袋を抱えていた。きっと“おいしいロールケーキのお土産”と言って、配り歩いたのに違いない。

私には、冷静に考えて並ぶことに費やした時間以上に美味くはなかったと記憶している。
そう思い起こして、蕎麦を食べずに帰る自分を正当化した。

とは言っても、あの蕎麦屋の蕎麦の味は気になるところだ。
今度生まれ変わったら、もう少し辛抱強く待てる人間になっていたいものだ。