仕事の出来を評価する判断基準に同じものを作り上げるのに、どれだけ早くできるか…という基準があるが、もし同じ絵を描くのに私が山本二三氏より5倍時間がかかったとしたら、明らかに山本氏が私より優れている。さらに、資料なしでイメージを伝えられ自由に描け…と言われたら、20倍の時間をかけても彼の足もとにも及ばないに違いない。要するに昨日の話は私自身の能力を自慢しただけのように思われたかも知れないが、それだけではなく彼の能力を認め、彼の才能を称賛していることをお分かりいただきたい。 私が作品を評価するときの基準があって… 一つは 技術のレベル 一つは 感動のレベル 一つは 探究のレベル これら三つである。 技術は、効果的な習得方法で根気よく続ければ大抵のことは師の80%くらいまでは到達できる。それ以上は根性と持って生まれたなにかだ。 感動は、周囲の人たち・生活空間・生活環境等感情を解放できる条件が揃うことで育つ。技術のように学習によっては身につかない。おそらく普段の生活で身につくものだ。 探究は、世間の常識に疑問をいだき自分自身のなかに光を求めて、自問自答し、実験し、繰り返し、ぶつかっていくことだ。資料取集もこのなかに入る。 私にとって、技術は大抵のことに関して誰でも80点まで到達できる…と、本当に思っている。 感動は、人生経験も含め、積み重ねるものだから、意識して急に変化させることは難しいと思う。 私が最も興味あることは探究であり、これこそ知的レベル…正解のない答を求めて彷徨う人間の本来の姿のように思う。 そんなことを考えながら、山本氏の作品を思い返してみる。10点満点で技術点は8.5点、探究点は8点それらに比べると感動点は5点…従って、優れた背景画は、そんな得点が妥当である。 このように作品を評価することを、どう思われます。なに…?点数つけるような見方は面白くないって… 分かってくださいね。普段私も点数はつけてませんよ。私の見方をお教えするために砕いてお話ししただけだから… 今日の話…あなたが、これからなにかを評価される時にお役に立てば幸いです。 |