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SOLILOQUY

ひとりごと

 
August 17, 2011 17:03:38

港町

カテゴリー: 日記
私の生まれた町には、今も大きな港があり…四国、九州、関東、近くの島や大陸を結ぶ定期船、世界一周航路の巨大客船、大型貨物船が波止場への着岸離岸を繰り返している。対岸の岬の工場では一般の貨客船に交じって国産の潜水艦を造っている様子もうかがえる。
私がまだ小学生の低学年だった頃には外国の軍艦もやってきた。白人の船員が町を闊歩すると外国から船が港に着いたことが分かった。薄れていく記憶のなかに白いセーラー服を身にまとった水兵の姿が町のあちこちに溢れ、町が外国の雰囲気を醸し出していた様子が蘇る。
いつの間にか軍艦の入港がなくなり、水兵の姿を見かけなくなり、いつの間にか貨物船の船員はアジア人に代わり、怪しげな光を発していた外人バーもなくなり、今では町を歩く白人は出稼ぎにきたロシア人が目立つようになった。子供の頃に感じた異国情緒が私の町からどんどんなくなっていく。
マージナル(境界)な立地が文化を発信するという学説があるが、交通貨物輸送手段の発達変化、通信情報伝達手段の変化等により私の町がマージナルではなくなっていく。この町は千年以上に渡って担ってきた、あらゆる異文化の出入り口という役目を終えようとしている。世界の動きは恐ろしく早い。

私の町は変わる。私の国も変わる。自然環境も変わる。周りの人々の考え方も変わる。変わらないものは何もない。変わっていくことを嘆くことなく、昔を懐かしんで立ち尽くすことなく、その時々で新しい道に向かって進んでいけたらいいなぁ…と思う。

そう考えている私は、いつの日かこの町から出ていくことを予感する。