知人の家に遊びに行っていたら、飼い犬が泣き始めた。するとその家のおばあちゃんが台所から蒸したサツマイモを持ってきて “これをあげないと泣き止まないから、ご近所さんにうるさいもんで…。”と、言いながら犬に与えようとした。 それを見た私は“それは間違いですよ。犬が泣く理由は、おばあちゃんを呼んでいるからです。鳴いたらあなたが来てくれると…あなたが躾をしているのですよ。” おばあちゃんは、悲しそうな眼をして下を見た。 飼い犬を馬鹿犬にするのは飼い主だ。飼い犬を黙らせるために無条件に飴を与えると、犬は自分を中心に世界が回っていると…大きな勘違いをする。 上に立つものは片方の手に飴を持ち、もう片方の手に鞭を持たなければならない。そのスタンスが上下関係を存続させるためには大切なのだろう。 “おばあちゃん、飼い犬に自分より下の位置に見られないようにね!”…と、悲しげに自分でサツマイモを食べるおばあちゃんの姿をみながら、心のなかで呟いた。 |