仕事場の近くに洋菓子屋ができた。当初は客もほとんどなかったが、そのうちオーナーパティシエがフランスの菓子コンクールのチョコレートの部門で金賞をとったことが知れると日に日に客足が伸びて行った。 私も何度か、賞をとったその菓子(チョコレートケーキ)を食べたことがある。おいしいとは思うが、少し私には甘さが強すぎるような気がして、わざわざ買いにいくことは無かった。 その店が土曜日と日曜日の午前中だけ、クロワッサンを焼いていると聞いた。フランスでは菓子屋がパンを作ることが普通かどうか分からないが、私の知る限り日本では聞いたことがない。売価の高い洋菓子を作っている菓子屋が、それに比べて安いクロワッサンを作っているのが不思議に思い、昨日焼き上がりの時間を待って店の入口をくぐった。 すでに、ほとんど売り切れていたが、残っていた6個を全部買った。食べてみると、バターの香りが強すぎる感もあったが、なかなか美味い。手の込んだ細工のできる菓子職人がパンを焼くと、こんなパンを作るのかと感心した。 近くには、美味いパン屋もあるから、どちらがいいかと言われても答えに困るが、たまには菓子屋のパンも食べたくなりそうだ。 なんだか、菓子屋の物づくりの姿勢をみたような気がした。ともかく自分が美味いと思うものを貪欲に作りたいに違いない。 だが、今のところ、クロワッサンだけにしておいてほしい気がするのだが、皆さん私の気持ちを察していただけるだろうか…? |