昨日、尊敬する事業家と4時間あまり話をした。大企業ではない…食品販売の中小企業である。彼の話の多くは、ええかっこなしのべたな商売の話である。 子供の頃に父親に言われたこと、やらされたこと、それに対して愚痴ったこと。父親が死んでしばらくして母親と夜逃げしたこと。若い頃単身で、貨物船に乗ってアメリカに渡り、つてなしに2年間生活したこと。私も若い頃(1ドル360円の頃)アメリカ一周やヨーロッパを巡る旅をしたことがあるけれど…彼の話はどれを聞いても新鮮にうつる。 若い頃に、出会いたかった人物である。 彼が、ぽつりと言った。“自分が死んでから、会社がつぶれるより、自分が生きているうちに整理したい。”…と…。 彼には娘がいる。最近ご主人とアメリカから帰ってきて夫婦で彼の仕事を手伝っているようだが、たたき上げの人生を送った彼には、どうも娘夫婦の仕事の姿勢が気に入らないようだ。 子供への甘さが見え隠れする。 私から彼に“自分の子供を信用して、突き放すしかありませんね!”と、言っていいものかどうか悩んでいる。 尊敬する事業家として、彼にはそうあってほしいと思うのだ。 |