ギターの先生から不思議な話を聞いた。数年前に理工系の優秀な学生が教室に習いに来ていたことがあり、レッスンが進んでいくうちに、左手で第1弦の第1フレッドを人差し指で押さえ、第4弦の第3フレッドを中指で押さえ、第2弦の第3フレッドを薬指で押さえて右手で4弦・2弦・1弦・3弦・2弦・一弦と弾き、続いて中指だけを離して同じように弾く。この簡単な中指だけを離すという動作が彼には3ヶ月経っても出来なくて、先生が「あなたは、ギターを止めた方が良い。」と言ったらしい。すると彼は「本当に止めてもいいんですか?」と言って教室に来なくなったそうだ。彼は半年後にぶらりと教室に現われ、その後の生活のことを先生に語ったそうだ。先生のダメ出し以来、人生が一変したらしく、目の前が明るくなり、初めての彼女ができ、猫背が改善し、きつい近眼が治ったというのだ。競争に勝ち抜いて来た彼には、それまで途中で諦めるということは絶対有り得ないことで、ギター教師からの一言によって初めて人生のギブアップを経験したらしく・・・諦めるということを知って、肩から力が抜け人生がうまく回り始めたと言いに来たそうだ。それ以来、先生・生徒の関係ではなく、友人としての交流が続いているらしい。 よく出来た話に思える。この話の本質をどうとらえるべきか・・・諦めるということも時には大切だとくくるか・・・入りすぎた肩の力を抜くことで新しい未来が見えるとくくるか・・・近眼が直ったなんて関係ないのと違う?と思うか・・どう考えるかはあなたにおまかせします。 |