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SOLILOQUY

ひとりごと

 
June 09, 2010 22:04:22

約束

カテゴリー: 日記
今から3週間ほど前、友人と酒を飲みに町に出た。こじゃれた日本料理の店で赤ワインを飲んで・・・魚には白ワインのマッチングが普通であるが、結構赤でも相性のいい肴を選んで、話が弾み楽しい時間が過ぎていった。次に行きつけのショットバーに行き、隣に座っていた知り合いのタウン誌の編集長と町の歴史の話で盛り上り、気分が良くてもう一軒はしごすることにした。その店は30年前に一度だけ行ったきりの店・・・昭和初期に我が町を徘徊していた画家、小説家、その他学者等多くの文化人が訪れ、その際酒の勢いにまかせて筆をとったのであろう、店の西壁面に彼らの落書きやサインが今でも残る。以前訪れた時も同じ二代目の主人であったと思うのだが、当時私は若かったし、主人も男盛りの40歳で、私は子供扱いされたような記憶が残る。30年という年月は二人の年齢差を近づけた。主人は丸くなり私は大人になっていた。気分が良くなった私は「一月以内にまた来ます。」と言って店を出た。
昨日、アメリカ帰りの友人と飲みに出て、分かれた後で一人で例の主人の店に足を向けた。店に入ると、接待ゴルフ帰りのサラリーマン一行が小さな店の客席に溢れていた。前回と全く違う空気を吸いながらウォッカトニックを注文した。ほとんど一気に飲み干して主人に勘定を申し出た。店の扉を閉めるとき主人の“申し訳ない”と言う笑顔が見えた。

私は、決して店の雰囲気を悪く思ったのではない。扉が閉まる瞬間、『約束を守れた。』と呟いた。