今日の午後、例の農学部の教授を訪ねた。招かれたところはある大学のゲストハウスで昭和初期に建てられた建物だった。 挨拶を交わすとすぐに和風庭園に案内された。一般には知られていない建物…、知られていないから素敵な建物だった。 “建築様式は昭和初期に流行ったスパニッシュ様式ですか?”と尋ねると、そうだとかえってきた。“実は私の住んでいた家が、戦後ユダヤ人が建てたスパニッシュ様式の洋館の私邸に和風建築を増築したものだったので、馴染があるんですよ…” この会話でお互い打ち解け名刺交換の前に話が弾んだ。 2時間半にも及ぶ話のなかで、互いの人となりが理解できた。 ものの最初というものは、こんな感じがいいと思う。数字のことは置いておいて互いの本質を知る。今日は充分な成果が得たと実感しながら坂道を下った。 私は研究者と話をするのが好きだ。子供のように純粋に話をして、年をとっても目の輝きが失せていない。話に駆け引きがないから自分をさらけ出せる。 “オリーブ”の計画はうまく進むと予感した。 |