昨日、尊敬するカメラマンから電話があり、久しぶりに出会って話をした。彼は建築カメラマンとして日本で三指に入る。ルーブル美術館のガラスのピラミッドを設計した世界的建築家I・M・ペイとも交流がある。彼との初めての出会いは23年前・・・その際彼の仕事に初めて接した。建築写真と言うものは、スタジオのなかで照明機材を駆使し人工の光のなかで撮影するわけではないので、撮影に適した場所・季節・天候・時間を探し待たなければならない。言い換えれば地球というスタジオのなかでの仕事と言える。そのため彼は撮影までに多くの時間を費やす。カメラを持たずに撮影場所を探し求めて歩く。隣のビルの屋上に上ることもあるし、人が入ったことの無い藪の隙間に撮影ポイントを見つけることもある。晴れの日を(場合によってはそうでない日もある)待ち、太陽の動きがどのような軌跡を辿るか頭に叩き込む。彼の姿勢に接して仕事というものが、形にする前の準備が大切だと知らされた。準備が整っていれば撮影は一気に終わる。私は彼の仕事を教訓としたが、これまで幾つもの思いの達成できない仕事をしてしまった。なにかが足らなかった。今現在、教訓が役に立っているのは料理くらいだろうか・・・ さて、なぜ彼が私に電話してきたか、知りたいと思われたであろうか・・・実は、あまりにも些細なことで、ここに書くまでも無い。どうしても知りたいと思われる方にはいつか機会があればお話したいと思う。 師と思える人から、些細なことで電話をもらえる自分を幸せに思う。 私は、これからも彼の姿勢を目標として、これから作り始める私の作品に活かしていこうと気持ちを新たにした。 |