昨年の夏に初めて発表会をしてくれたピアノ教室の先生から、前回…この会場で弾いた生徒さん達の評判が良かったので、また予約が入り、さきほど先生が打ち合わせにやってきた。2月24日に行われる。 幾つかの発表会の予約を受けてきたが、どちらの先生もそれなりに人柄が良い。今朝、打ち合わせを済ませた後に先生と世間話をした。震災で家が倒壊し、傾いて崩れそうな家のなかから近所の人がピアノを運びだしてくれ、家を建て替えた時に20畳のピアノを弾くための防音室を作り、最初は教えるつもりはなかったそうだが、その部屋にやって来た知人が教えてほしいと言うもので、そこから教え始め、それが今では100人ほどの生徒をかかえるようになったと言うのだ。 話を聞いて、私の知人の歴史研究家のことを思い出した。震災でピアノを押しつぶされ、それ以降一度も弾かなくなったと言う。 同じ震災を経験し、ピアノを職業とした者、二度とピアノを触らなくなった者…いろいろだ。 さて震災は、私の何を変えただろう。 すぐに、思い当たらない。 幸い、知り合いに亡くなった人は一人もいなかった。 でもあの時の記憶は、思い出せば湧き出すように蘇る。 私も震災経験者と言う経歴からは逃れられない。 ピアノの先生のピアノの音色には震災の記憶が含まれているに違いない。 歴史研究家が、震災の記憶を携え、いつかピアノを弾く日が来ることを信じたい。 |