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SOLILOQUY

ひとりごと

 
February 14, 2013 15:23:30

覚醒

カテゴリー: 日記
昨日、昼一番で手術がはじまり、予定時間の4時間ほど経った夕方…手術室から出てきた担当医から無事終了の報せを聞いた。麻酔が覚めるまでの間に執刀医から説明を受けた。相変わらず外科医特有というか…摘出した腎臓と腫瘍を誇らしげに持ち上げてみせる仕草が奇異に見えた。
私は手術に関する不安は皆無だった。それよりも、これから行われる病理検査による転移の有無と、本人が元に近い生活をもどろうとする意志がどれだけあるかの問題である。これからが正念場だと思う。

麻酔から覚めICUに見舞った。全身麻酔からの目覚めは、現実と非現実の区別がつかない。このことは経験のなかで分かっている。案の定、母は虚ろな眼差しで聞かれたことに反応しているようだが、言葉はうまく返ってこない。きっと次に会った時には何も覚えていないだろう。

ICUのなかで、私を執刀した心臓血管外科の医師に出会った。昨日も誰かの命を救ったのだろう。軽く会釈したら、先生も気が付いて話しかけてきた。
8年前には、同じこの部屋で私の目覚めを母が待った。今度は私が母の目覚めを待った。
世の中には、時によってまったく立場が逆転することがある。そのどちらも経験することが人間としての懐の深さをつくるのだろう。

誰かにしてもらったことを、誰かにしてあげる。

最近、私に、この機会が与えられているように思えてならない。それは、私が、何年かに一度の成長期を迎えているからに違いない。